ページ上へ

慰謝料が支払われないとき

和解や裁判によって慰謝料の額がまとまったとしても、それが必ずしも履行されるとは限りません。
債務不履行に備えるため・防ぐために、どのような保全方法があるのかを事前に確認しておきましょう。

債務不履行に刑罰は無い

慰謝料を支払わない元夫

「被告人は原告に対し1,000万円を支払え」

例えば、このような判決が裁判で下されたとします。
“裁判での判決は絶対”と考える方が多いかと存じますが、例え確定判決を得ても必ずしも支払われるとは限りません。

慰謝料支払いが不履行になり愕然とする男性

余談ではありますが、殺人や傷害等の刑事事件で不利益を被った被害者が民事訴訟で損害賠償を請求したというニュースをよく目にしますが、きちんと支払われるケースはほとんどないそうです。(6割以上は1円も支払われていないというデータもあります。)
それは日本の法律が、財産が無い人からはお金を取れない損害賠償を無視しても警察に捕まることはないという構造であるからに他なりません。

担保を確保しておくことが重要

払わなくても捕まることはない
お金が無いから払えない!

このような逃げ得は絶対に許してはなりません。
しかし、一体どのような対策を講じれば良いのでしょうか。

金融業を題材にした映画や漫画では無理矢理働かせる・無茶な取立てを行う等でお金を回収する描写が多くみられますが、我々一般人にとって現実的とは言えません。
最も確実な方法としては「担保を確保しておくこと」です。
担保があれば相手方は“きちんと返さねばならない”という心理が働きますし、最悪当該財産を差押えることによって慰謝料を回収することが出来ます。

慰謝料の担保を調査する

ただし、財産を隠されてしまうと回収が困難になってしまいますので、財産状況については慰謝料を請求する前に調査しておきましょう。

対象財産と保全の種類&方法

保全に利用できる財産例

担保を確保することを法律用語で「保全」と呼びます。
保全にはどのような種類や方法があるのかについて予め知っておきましょう。

対象となる財産

担保となる財産は、換価できるものであればなんでもかまいません。
代表的な例としては「不動産」「」「銀行口座」等が挙げられ、相手方が会社員であれば「給与」も差押え可能な財産となります。
なお、相手方が生活できなくなってしまう危険性を考慮し、給与については差押え可能額に上限が設けられておりますのでご注意ください。

参考裁判所「差押可能な給料の範囲」
https://www.courts.go.jp/okayama/saiban/tetuzuki/s2/index.html

差押えが一般的

保全にはいくつかの種類がありますが、最も代表的なのは繰り返しお伝えしてきた「差押え」と呼ばれる方法です。
これは、厳密に言うと“債務者が勝手に財産を処分できなくする”という手続きで、例えば不動産であれば勝手に売却することが出来なくなり、銀行口座であればお金を引き出すことが出来なくなります。
差押えた財産は競売(オークション)によって現金に換価され、売却代金から債権の回収を図ることが可能となります。

差押えにはお膳立てが必要

差押えは、一歩間違えれば債務者の人生を大きく狂わせてしまう非常に強い力です。
そのため、差押えは無条件で行えるわけではなく、一定の条件の下でしか利用できません。

差押えの条件例

裁判で確定判決を得る
強制執行認諾条項付の公正証書
抵当権の設定及び実行

浮気による慰謝料請求では裁判外の交渉によるものがほとんどですので、一番上の「確定判決」は実務的とは言えません。
この中で最も実用的なのは「公正証書」を利用した債権保全です。

慰謝料担保のための公正証書

公正証書文書とは、公証役場と呼ばれる法務省所管の役場にて公証人の手によって作成された公文書のことをいい、確定判決と同等の効力を持っています。
つまり、万が一義務が履行されなった場合は相手方の財産に対して強制執行を掛けることが可能であり、裁判を起こさなくても強い保全を得ることができるのです。
気になった方は、最寄りの公証役場や担当弁護士に是非相談してみてください。

参考日本公証人連合会公式ホームページ
http://www.koshonin.gr.jp/list

債権者の方が立場は上…と思われがちですが、決してそんなことはありません。
慰謝料が確定したのにも拘わらず1回も支払われていない、というケースは非常に多いです。
損害賠償を請求する前に、債権の保全方法まで練っておくことを強くお勧めいたします。