探偵事務所が扱っていない業務
探偵事務所はどこまで出来るのか?
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
当ページでは、探偵事務所や興信所が対応している業務の範囲や他業種との違いについて解説いたします。
探偵事務所とは
まず、探偵事務所の定義についておさらいしましょう。
「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいいます。
引用元:警察庁HP
つまり、探偵や興信所は「対象者がどこにいるか又はどのような行動をしているかを調べること(浮気調査・人探し・企業調査など)」が業務であり、対象者の罪を追求したり、依頼者の代理人として活動したりすることは出来ません。
なお、情報収集にあたって尾行や聞き込み等を行うことは認められておりますが、対象者のプライバシーを侵害するような調査や業務の範囲を超えた調査はしてはならず、罰則の対象となる可能性もあります。
違法な調査とは
前述した通り、探偵はあくまでも依頼を受けた特定事項に対する調査が仕事です。
そのため、依頼の範囲を超えての調査(例えば、浮気の証拠集めを依頼したのに、家族構成やルーツまで調べていた等)は探偵業法に違反する可能性があります。
なお、住民票や戸籍謄本等の公的書類は本人又は代理人しか請求することができず、探偵が勝手に取得するのは違法行為です。
また、当然ですが対象者の家に盗聴器を仕掛けたり、隠しカメラを設置したりといった違法な調査は行ってはなりません。
- 違法な調査の例
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クレジットカードの信用情報取得
個人情報の不正取得
電話番号や車のナンバーから持ち主を調べる
ストーカー行為の助長
差別を目的とした調査
盗聴や盗撮
電話番号から契約者を割り出す
など
これらの調査に対応している業者は違法業者であり、依頼者も罰則の対象となる危険性がありますので、絶対に利用しないようにしてください。
他業種との違いについて
「特定人を調査する」という点にフォーカスを当てますと、警察・弁護士・行政書士等の業務内容が若干似ている気がしますよね。
これらの業種とどのように異なるのか、解説していきたいと思います。
民事か刑事かの違い
警察は、殺人や窃盗といった「事件」が起こったとき、その犯人を徹底的に調べ上げ、証拠や身柄を押さえた抑えた上で検察へと引き渡します。
「聞き込み・張り込み・尾行等を用いて情報を収集する」
という点については探偵と共通しておりますが、対象事件が「刑事事件」という点は大きな違いと言えるでしょう。
治安維持のためには迅速な解決が必要不可欠であり、身体の拘束や財産の押収、強制捜査(所謂「ガサ入れ」)等、探偵よりも強い権利を持っている点も大きな違いです。
法律相談や代理行為
「離婚相談」「離婚カウンセリング」といった名目で相談料を取る探偵事務所が多く存在しておりますが、法律相談は弁護士にしかできません。
また、弁護士や行政書士は職権で住民票や戸籍謄本を取得することが可能ですが、あくまでも業務上利用する場合(訴訟代理や許可申請など)にのみ認められています。
つまり、探偵事務所は対象者の個人情報を取得することができず、対象者との示談交渉や和解書の作成等を担うことができません。
探偵は「刑事事件の捜査」「法律行為の代理」「違法な調査」を行うことができません。
事件の風化を防ぐために行う聞き込みや情報提供を求めるためにビラを配る、など行為については違法とまでは言えませんが、地元警察の捜査を妨害してしまう恐れもありますので、やはり避けたほうが良いでしょう。