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婚前調査とは

もしかしたら初婚じゃないのかも?
犯罪歴があったらどうしよう…

など、これから一生を共にする訳ですから、相手がどのような人生を歩んできたのか気になりますよね。
また、名家の方の場合は家に傷が付いてしまう恐れもあるわけですから、慎重に成らざるを得ません。
当ページでは「婚前調査」にフォーカスを当て、どのような調査を行うのか、調査方法等について解説したいと思います。

出身・家柄の調査

婚約者を厳しくチェックする親族

明治時代(1871年)に開放令が布告されたことによって、古来より続いた身分制度は無くなり、今までは認められていなかった「平民による氏の使用」「平民と武家(明治後は華族や士族)の結婚」などが可能となりました。
しかし、既に廃止から150年ほど経っているのにも拘わらず、今も出身地に対する差別が根強く残っているのが現実です。

これは、結婚する当人達よりも周りの親族が強く気にする傾向にあります。
若い世代の方から見ると「どうでも良い」「ナンセンス」と感じる事柄であっても、世代によっては婚姻関係を揺るがす重大な事なのです。
もちろん、名家と呼ばれる人が全てこのような考えではありませんが、当人達がそう思っていなくとも「せざるを得ない」という状況があることも知っておいてください。

エリアによっても差
大阪道頓堀の夜景

婚前調査のほとんどは「婚約者が被差別地域出身かどうかを調べて欲しい」というご相談から始まります。
関東地方ではさほど多くはない依頼ですが、大阪を中心とした関西地方では浮気調査の次に多い依頼だそうです。

関東出身である私にはいまいちピンと来ないというのが率直な気持ちなのですが、残念ながら関西地方では今もなお根強く残っている問題ということなのでしょう。
悔しい思いもあるかもしれませんが、風習と割り切って受け入れる他ありません。

婚前調査の方法

今も昔も、基本的には「婚約者の戸籍を辿る」という方法を用います。
戸籍の保管期間は80年と定められておりましたが、平均寿命が伸びていることに鑑み、平成22年の改正によって150年間保管することが義務付けられました。
そのため、同制度を利用すれば100年以上昔の家族関係が知ることもでき、ルーツを知りたい際は戸籍を取るのがベターな方法であると言えます。

本人の同意が必要

戸籍に関する書類は、原則として本人や相続人(配偶者や子など)しか取得することができません。
古くは本人の同意を得ずに行うことが多かった戸籍調査ですが、このような調査はれっきとした犯罪行為(不正取得)であり、対象者のプライバシーを侵害するものです。

そのため、現在では多くの事務所が「本人の同意を得た上」で婚前調査を行います。
協力を得られないことももちろんありますが、裏で調べられるのは気持ちが悪いから、と協力してもらえるケースがほとんどです。
なお、婚約者の段階では法律上の夫婦になっておりませんから、如何に婚約していても勝手に取得することはできません。

前科は調べられない
二面性を持つ男性

残念ながら前科を調べる方法はありません。
厳密に言うと市区町村役場や警察庁等でそれらのデータを管理してはいるものの、本人はもちろん第三者に開示するシステムが無いのです。

一つ挙げるとすれば、パスポートを見せてもらうという方法があります。
旅券法では以下の通り規定されており、重大な罪を犯した人はパスポートを取得することができないためです。

日本のパスポート

旅券法第十三条(一般旅券の発給等の制限)
外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
一. 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
二. 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾こう引状、勾こう留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
三. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四. 第二十三条の規定により刑に処せられた者
五. 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者
六. 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがある者
七. 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

引用元:e-Gov「旅券法」

どうしても前科の有無が知りたい…という方は本人にパスポートを見せてもらう・海外旅行に誘ってみる等で前科の有無が分かるかもしれません。
ただし、こちらの犯罪は重大な犯罪であること・事件発生からまだ時間がさほど経っていないこと等の条件がありますので、必ず分かるわけではない点にご注意ください。

他人であった男女が家族になるのですから、慎重になるのは仕方のないことかもしれません。
しかし個人的には、当人同士が愛し合っている訳ですから、広い心を持って結婚を許してもらいたいというのが正直な気持ちです。