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職場不倫への対処

男女がいつどこでどのようにして恋愛に発展してしまうのか…それは本人ですら分かりません。
職場であっても例外ではなく、上司と部下・同僚・後輩など、ただの仕事仲間だった男女がひょんなことから恋愛に発展してしまうケースは決して珍しくありません。
同職場内で浮気をされてしまった場合の対処について、予め知っておきましょう。

職場に通知するメリット

会社にしがみつく男性

まず、冷静になって職場に通知するメリットから考えてみましょう。
一般的には「気持ちがスッキリする」「浮気相手の職を奪える」等が挙げられるかと存じますが、これらにさほどメリットがあるとは正直思えません。

職場の管理能力はどうなっているのか!というお怒りはもっともですが、咎めたところですぐに改善されるかは不明ですし、そもそも対策してもらっても後の祭です。
それどころか、職場への通知は以下の通りデメリットが伴います。

デメリットその1~債務不履行の恐れ

仮に両者が勤務時間中に不貞行為に及んでいた場合は重大な就業規則及び雇用契約違反に当たりますので、懲戒解雇処分となる可能性があります。(一発解雇となるケースは現代ではあまり見られませんが、可能性はゼロではありません。)
失職によって収入が減る又は無くなってしまうと、その分慰謝料が支払われない危険性が高まりますので、通知者側のデメリットとなります。
職場が分かっていれば万が一支払いが滞っても給与の差し押さえが可能ですので、出来る限り穏便に済ませた方が賢明です。

デメリットその2~不利に働く可能性

多くの国では、罪を犯した際の「罰」が設けられています。
罰則については対象者の身体・財産に大きな強制力が加わりますから、一歩間違えれば権力の乱用・権利の侵害に繋がってしまいます。
そのため、罰の要件や量刑については厳格に定めておかねばならず(罪刑法定主義)、私人が勝手に処罰を加えることは認められておりません。
浮気は確かに許せない行為ですが、被害者側が勝手に罰を与えると逆に訴えられてしまう危険性裁判で心証を悪くしてしまう恐れがあります。

やりすぎると罰則の恐れ

迫る罰則

職場へ通知しただけでは罪に当たりませんが、相手に危害を加えることを目的にした通知・連絡は罪に当たる可能性がありますので絶対にしないようにしてください。
具体的には、以下の刑罰やケースが考えられます。

脅迫罪 「慰謝料を払わないと会社にバラす」などと脅す行為
名誉棄損罪 社内全体に不倫が知られるように通知するなどの行為
威力業務妨害罪 「会社を潰してやる」などと脅す行為
偽計業務妨害罪 誇張や嘘によって会社の信用を乏しめる行為
弁護士にも止められる
自制を促す弁護士

夫婦間に於いて浮気は最大の裏切行為であり、冷静な判断ができずに職場の人間に強く当たってしまう気持ちはよく理解できます。
しかしながら、前述した通り職場への通知は「メリットが少なく・デメリットやリスクが大きい」という性質があり、弁護士の多くは同通知を行うことに対して否定的です。

また、仮に浮気相手が会社やお店の経営者だった場合、通知したところで改善が見込めない上に処分も期待できませんので、骨折り損のくたびれ儲けになってしまいます。
決して怒りに身を任せて行動せず、グッと堪えて反撃の機会を伺いましょう。

職場への通知は個人的にはオススメできません。
特段の事情がある、会社の責任を追及したい、浮気相手の職を奪ってやりたい…など、どうしても不貞行為を通知したい場合には、弁護士とよく相談した上、相手の権利を侵害しない形で対処するようにしてください。