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共有財産の使い込み

久しぶりに通帳を見たら残高がからっぽに…
考えるだけでゾッとしてしまいますが、意外にも使い込みのトラブルは多く見られます。
共有財産の使い込みがあった場合の法的効果、対処法等について確認しておきましょう。

財産分与のおさらい

財産分与のイメージ

前回の記事(財産分与について)の中で、婚姻期間中に築いた財産は「共有財産」に当たり、両者が半分ずつ持ち合っている状態にあるとご説明しました。
つまり財産分与前の共有財産は夫婦2人の物であり、勝手に処分したり消費したりしてはならず、万が一使い込んでいた場合は返還の対象となります。

なお、生活費として支出したお金については返還の対象となりませんので、「生活費でないことを如何に証明するか」が返還可否の分かれ道と言えます。
例えばエステサロンやブランド品の購入・浮気相手との海外旅行・車などの高額な使い込みについては証明しやすいですが、日々のランチや食事代・ホテル代等については証明が難しいです。

借金があるケースも
お金を使い込む不倫夫

少し使い込んだだけならまだ良い方かもしれません。
中には、浮気相手にのめり込み過ぎてしまい、共有財産を使い切ってしまうだけでなく借金を作ってしまうケースもあります。

借金については「財産分与の対象となる借金」と「財産分与の対象にならない借金」があり、場合によってはその借金を負担しなければならなくなります。

財産分与の対象
となる借金
財産分与の対象
にならない借金
生活費を捻出するためにした借金
家族で使用する車のローン
家族で居住する家のローン
趣味や趣向品購入のためにした借金
ギャンブルのためにした借金
婚姻前からあった借金

例えば借金の理由が食費や家賃を用意するものであった場合、その借金は財産分与の対象となり、離婚後も共に力を合わせて返済していかねばなりません。(たとえ借金の名義人となっていなくても同様です。)

違法行為とまでは言えない

人の財産を勝手に使ってしまったのですから、それは窃盗と同じです。
しかし、日本では家庭内の問題は家庭内で解決させるという考え方が強く、法律もこちらの考え方に沿って制定されています。

例えば人の物を盗むと「窃盗罪」として処罰されますが、その窃盗が親族間によるものであった場合は高い確率で免除されます。
これを「親族相盗例」と呼び、刑事事件として処罰されることはまずありません。
夫婦間も同様に、共有財産の使い込みだけで逮捕にまで至るケースはまず無いと考えてよいでしょう。

浮気相手に対する請求
制裁に燃えるサレ夫

念のため申し上げますと、親族相盗例は文字通り親族間にのみ適用される規定ですので、当然浮気相手に対しては適用されません。
したがって仮に浮気相手の指示によって共有財産を盗み出したのであれば、それは立派な窃盗行為で当たり、立件できる可能性は十分にあります。(一般的な慰謝料請求でそこまで追求することはほとんどありませんが…)

そのため、使い込みが発覚した際は浮気の証拠だけでなく窃盗の証拠を集めてみるというのも一つの手です。
弁護士と事前に相談し、どのような証拠が必要なのかを把握するところからはじめてみましょう。

財産保全も視野に
密かに購入した高級外国車

使ったと見せかけて別の場所に保管している可能性もあります。
当然これらも財産分与の対象となりますので、他に口座を持っていないか、隠れて車や不動産を購入していないか等について調査しておくことをお勧めいたします。

なぜならば、隠し財産を差し押さえるには特定するための明確な情報(口座番号や不動産の所在など)が必要だからです。
慰謝料や財産分与の際の強力な担保となりますので、差し押さえも視野に入れる場合にはしっかりと情報を押さえておいてください。

明らかにお金が少ない場合、パートナーの手によって共有財産が消費されている可能性があります。
消費の具合によっては保全(差し押さえや処分禁止の仮処分など)が必要になるケースもありますので、まずは弁護士に相談してみましょう。
証拠が必要となる場合、浮気の証拠集めと併せて探偵事務所に依頼してみるというのも一つの手です。