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裁判に関する基礎知識

裁判」と聞くと
とても難しそう…
なんだか面倒くさそう…
といったネガティブな印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
裁判の流れや基礎的な知識についてまとめましたので、裁判を検討している方は是非ご参考ください。

裁判のパターン

裁判について説明する弁護士

浮気の慰謝料を裁判で請求する場合、以下の2パターンが考えられます。

パターン1…離婚裁判の中で慰謝料を確定させる
パターン2…不法行為に基づく損害賠償請求

“離婚はせず慰謝料だけ請求する”というご夫婦もいらっしゃるかとは思いますが、損害賠償を請求するまでに至ってしまった場合、そのほとんどで「離婚」を伴います。
つまり、慰謝料を目的に裁判を提起する場合、その多くがパターン1に当てはまるということになり、損害賠償請求のみ提起するパターンは稀であると言えます。

離婚裁判は包括的

不法行為に基づく損害賠償請求は、離婚をせずに配偶者や浮気相手から“お金だけを請求するケース”で提起される裁判です。
一方で離婚裁判は文字通り“離婚を前提とした裁判”であり、慰謝料請求だけでなく、財産分与・親権・養育費など、様々な事柄について話し合います。

したがって、離婚裁判は慰謝料請求(損害賠償請求)も包括しているということになり、再構築を視野に入れていないのであれば離婚裁判を提起するのがベターです。

裁判と調停の違い

裁判と似て非なる手続きに「調停」と呼ばれるものがあります。
客観的な事実や法律の根拠に基づいて強制的な判断が下される裁判とは異なり、調停は当事者間のみで円満な解決を目指します。

つまり、裁判官による結審(判決)ではなく「主張・希望を尊重し合い、互いが納得できる方法を話し合いで模索していこう」という解決方法です。
メリットとしては手数料が裁判よりも安い・解決までに要する時間を短縮できる等が挙げられますが、万が一調停がまとまらなかった場合は調停の費用に加えて裁判費用が上乗せされる形になりますのでご注意ください。
互いに歩み寄る姿勢がみられるケースに有効な手段と言えるでしょう。

離婚裁判の流れ

離婚裁判の提起から完了まで流れは以下の通りです。

1.裁判所に訴状を提出(提訴)
離婚裁判の訴状

訴訟を願い出る文章のことを「訴状」いい、裁判所に訴状を提出し裁判を求めることを「提訴」といいます。訴状には請求の趣旨や原因を記さなければなりません。なお、訴えを提起した人を「原告人」、訴えを起こされた人のことを「被告人」と呼びます。

2.口頭弁論期日の決定・通知
口頭弁論期日の通知を受けた男性

訴状を受け取った裁判所は、訴状と共に口頭弁論期日を被告人に対して通知します。訴状に記載されている内容に齟齬がある場合、口頭弁論までに答弁書(反論)を提出します。

3.口頭弁論
口論する男女

訴訟に関連する証拠の提出・どのような点で争いがあるのかを審理します。慰謝料請求を伴う離婚裁判の場合、原告側からは浮気の証拠、被告側からはそれを否定する証拠(婚姻関係の破綻など)が提出されるケースが多くなっています。

4.事実関係の尋問(出廷)
提出した浮気の証拠

主張・証拠・争点等が出揃いましたら、原告・被告に直接話を聞きます。細かい背景・状況等も勘案した上でさらに深く審理していきます。

5.裁判所からの和解案
握手をする人

民事裁判に於ける裁判所は、判決はあくまで最終手段であり当事者間の話し合いで解決するのが望ましいというスタンスを採っています。そのため、判決の前に和解を提案することがあります。和解案を双方受け入れた場合、判決を待たずして裁判は終結します。

6.裁判の終結(判決)
判決を下す裁判官

訴訟に対する最終的な判断を決定します。判決には大きく分けて原告の主張を認める「認容判決」と「棄却判決」があり、具体的な慰謝料も判決をもって確定します。

裁判の期間

離婚裁判は最低でも6か月程、長いと2~3年掛かります。
さらに、浮気の証拠を掴むまでのプロセスや弁護士との事前相談等を含めますと、判決までに非常に多くの期間を要してしまうことになります。

長引けば長引くほど生活の立て直しや気持ちの切り替えが難しくなってしまいますので、調停や裁判に発展する前に当事者間の話し合いで解決するのが理想的です。

裁判の方が慰謝料は高い?

和解交渉は「慰謝料の相場にプラスアルファした金額」をベースに話し合われるのが一般的ですので、裁判の判決に比べると和解の方が慰謝料は高くなります。

なお、慰謝料をいくら請求するのかは本人の自由であり、極端な話1,000万円や1億円といった金額を請求しても法律的に問題はありません。
ただし、問題は「その金額で相手が納得するのかどうか」であり、あまりにも請求額が高いと“裁判の方がマシ”と開き直られてしまう可能性があります。
特段の事情がある場合を除き、相場に少し上乗せした程度でまとめておくのが無難な選択と言えるのではないでしょうか。

離婚裁判は長期に及びますので、多額の弁護士費用・生活費等を用意しなくてはなりません。
裁判よりも和解(裁判外交渉)の方が慰謝料は高額になりやすいため、特段の事情が無い限りは裁判によらない方法での解決が望ましいです。